昔々ある所に一人の若者がおりました。その頃の世の中は乱れに乱れ果て、いつも村の人達と若者は、これからどうしたら良いのやら困っていたのです。おまけにその年は、米も不作で、それでもできた米もあまり美味しくなく、みんな落ち込んでいました。そこで若者は、たまりかねて、このままではいけないと一人、旅に出る事にしたのです。
町に出て見ると何処も同じ、いろんな問題を抱え、旅人を受け入れる余裕など、どこに行ってもない様子でした。それでも何か手だてはないかと何日も何日も旅をつづけていた、ある日の事です。ものすごい嵐がやってきました。吹き荒れる雨と嵐の中、それでも負けずに若者は歩きつづけたのです。そして、とうとう力を使い果たし、疲れ果てて、どこを歩いているのやら分からなくなり、倒れて気を失ってしまいました。
あれから何日たったのでしょうか、ある日の朝、今まで聞いた事のない、清々しい鳥の鳴き声で若者は、目を覚ましたのです。目を開けて見ると、その鳥は若者の上を大きく旋回し、最後に何かを告げるように、けたたましい声を上げると何かを空高くから落として飛び去って行きました。その落としたものは、何と若者の真上に丁度落ちて来るではありませんか。思わず受け止めて握り締めた拳をそおっと開いて見ると、そこには何やら赤い実がはじけて種が出てきていました。
その時、鳥の大きな声に驚いて何処からか出てきた老人が言ったのです。「それは土地に伝わる幻の赤い葡萄の実じゃ、その種を手にしたものは幸せになると言われとる。おまえさんは付いておるぞ」回りを見渡して見るとそこはなつかしさを感じる山に囲まれていて、何処か故郷に似た景色だったのです。そして、そこには、たわわに実った葡萄の木がいっぱい育っていました。そこで我に帰った若者は思ったのです。故郷に帰えろうと。
村に帰った若者は、あの時に見た景色に似た山沿いに、あの幻の赤い葡萄の種を植えたのです。それから種は見る々うちに大きな木に育ち、村は美味しい葡萄の産地になりました。又、若者は村の人達と一緒に村の事をもう一見直し、土地や気候にあったいろんな種を大きく育てて行ったそうです。
あれからは、今だ、赤い葡萄の実を見た人はだれもいません。又、赤い葡萄の実が出来ますように。若者はたんせいこめて育てながら、幸せに暮らしたと言う、これは、本当にあったお話しです。
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